かけぬける青空は、きっと君とつながっている
とどのつまり、間宮さんの顔を見て安心したいという、完全なるあたしのわがままだ。
でも、それをしないと、布団に入ったとしてもどっちみち寝つけないだろうことは分かりきっているし、間宮さんには、できるだけ、いつも通りのあたしで接したかった。
それが、今のあたしにできる精一杯に思う。
「そうだ、菜月に話しておくことがあったわ」
「なに?」
坂の中腹あたりを下っていると、お母さんは、ふいに思い出したようにそう言い、ひとりでふふっと笑うと、すっと前を見る。
坂を駆け上がってくる、秋めいた涼しい朝の海風が、お母さんのスカートの裾をはためかせ、あたしの前髪を押し上げていく。
「ずっと気になっていても聞けなかったと思うけど、おばあちゃんとケンカをしていた理由、話しておこうと思って。どう? 聞く?」
「……え、それは、聞けるに越したことはないけど、あたしが知っても構わないこと?」
「だから、話そうか、って言っているのよ」
「そっか。じゃあ……聞く」
腹積もりはしていたはずなのだけれど、思いのほか早く聞けることになって、少しの後ろめたさの中、あたしは“聞く”という選択をする。