かけぬける青空は、きっと君とつながっている
するとお母さんは「そんなに構えなくてもいいわよ」と、またふふっと笑い、語りはじめた。
「おばあちゃん、ああいう人だから、お母さんが若い頃は、それはもう反発してばかりでね。よくケンカもしたし、家出もしょっちゅうだったの。それで、高2の夏だったかしら、いきなり『お前は、この土地で誰かいい人を見つけて結婚しなさい』なんて言われたの」
「え、そんなことを……?」
「ね。意味が分からないでしょう。まだ17歳だったのよ、お母さん。理由を聞いてもちっとも話してくれないし、前から、高校を卒業したらこの町から出てってやるって決めて、いろいろと準備はしていたから、卒業式の日に出ていったの。見せつけるようにしてね」
「そうだったんだ……」
これが、長い間、お母さんとおばあちゃんの間にあったわだかまり、というわけ、か。
今の感覚だと、そうやって自分の将来を制約されてしまうなんてことは、ほとんどないように思うけれど、30年くらい前なら、そういうことも、わりと多くあったのだろうと思う。
あたしにとってのおばあちゃんは、優しく朗らかで、可愛い面もたくさんある素敵な人なのだけれど、今の話を聞くと、おばあちゃんも若かった、ということなのだろうかと思えてくる。