かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
そうしていると、壁時計が10時を知らせ、あたしはおもむろに席を立ち、階段を上がった。

10時になったら間宮さんを起こしに行く、というのが、すっかり習慣になっている今では、おばあちゃんは、すっと間宮さん用の食器や箸をテーブルに並べ、畑仕事に向かう。

お母さんが帰った今日も、それは同じで、おばあちゃんはお勝手口を出ていき、あたしは掃除用具を引っ張り出し、階段を上っていった。


けれど、いつものように間宮さんを起こし、階段を下りていく後ろ姿を見送ったあとのあたしは、やはり調子がよくなかったらしい。

部屋の掃除をだいたい終わらせ、あとは洗面台の掃除だけとなったとき、振り向いたとたん、持っていたハタキを何かに当ててしまった。


「あっ……」


カタン、と乾いた音を立てて、机の上に伏せられてあった写真立てが畳の上に落ちる。

それは、間宮さんが朝ご飯を食べに行くとき、今日も「触るなよ」と言われていたもので、おそらく昨夜、この写真立てに向かっていろいろと話しかけていたと思われるものだった。

写真立ては、伏せてあるままスライドして落ちたようで、不幸中の幸い、とでも言うのだろうか、見えるのは裏側の板だけで、ほっとする。
 
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