かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
昨日の2人の駆け落ち騒動の翌日だからとか、深夜に間宮さんの秘密を知って眠れなかったからとか、そういう理由で、足が重く、息が異様に上がっているわけじゃない。

なんて表現したらいいのだろうか……とにかく間宮さんを見つけなくちゃ、という気負いだけが空回りしているような感じで、焦りばかりが体中を占めていて、脳から体への運動伝達の仕組みそのものが、かなりおかしいのだ。


「ああ、もう、なんで……っ!」


それに加えて、なんでこんなにも、この町の景色は、いつもと変わらず綺麗なのだろうか。

坂道を駆け下りていくあたしの目には、海も空も、のどかな港町の町並みも、今は全てが作り物に見えてしまって、仕方がなかった。


それでも、坂を下りきり、上がった息を整えようと膝に手を当ているとき、ふっと顔を上げた瞬間に見えた間近の海はやっぱり綺麗で、酸素を求め、さらに上げた顔に一気に降り注いでくるのは眩しすぎるほどの太陽の光り。

思わず固く目をつぶってしまったけれど、手で日さしを作ってから徐々に目を開けていくと、見えた空はどこまでも青く澄んでいて、これもまた、やっぱり綺麗だとしか思えなかった。
 
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