かけぬける青空は、きっと君とつながっている
どうしたって、あたしはこの町が好きだ……。
そのことを、変なタイミングで実感する。
けれど、それに気を取られている時間は、今のあたしには、少しだってない。
「……探そう、間宮さんを」
あたしのことは嫌いになっても構わない。
それでもどうにか、この町や、過ごした時間ごと、嫌な思い出にさせてしまうのだけは避けたい、その一心で、あたしはまた走りはじめる。
間宮さんが行きそうな場所は、あたしには海沿いしか思い当たらなくて、漁港だったり、併設している史料館や図書館だったり、満月を見に行った浜辺くらいしかなかった。
けれど、場所を転々としているのか、もっと違う場所に行ったのか、どこをどう探しても間宮さんの姿はなく、それからしばらくの間、海沿いを行ったり来たりすることになる。
そのうち、あんなに天気がよかったのにも関わらず、空からはザーザーとどしゃ降りの雨が落ちてきて、たまらず、いつも魚介類の仕入れでお世話になっている魚勝さんの軒先を借りて雨宿りをしていると、大将に「しばらく止まないから、もう帰んな」と言われてしまった。
「……傘、ありがとうございます」
「仕入れのついでに返してくれればいいよ」
「はい……」