かけぬける青空は、きっと君とつながっている
前に一度、間宮さんと一緒に行った展望台。
早朝、日課の小説の朗読をしようとしたら、一晩中ここにいた、という間宮さんに見つかり、成り行きで朗読を聞かせた展望台だ。
ずっと海沿いばかりを探していて、山のほうには見向きもしていなかったのだけれど、よくよく考えてみれば、展望台は雨風をしのげるし、出入りも自由だし、やってくる人も少ない。
これだけ血眼になって探しても見つからなかったのだから、間宮さんが展望台にいる可能性は極めて高いのではないだろうか。
そう思う。
そうして、一縷の望みをかけて、展望台へと続く坂道を駆け上がっていくと、しばらくして、街灯に照らされた白い建物が見えてくる。
ここまで来れば、あともう少し……。
「……っ、間宮さんっ!」
なりふり構わず最後の坂道を駆け上がり、そう叫びながら、展望台の中を見渡す。
と……。
「間宮さん、やっぱり……」
「……、……」
コンクリートの白い壁に力なくより掛かっている間宮さんの姿を見つけ、駆け寄って、どこにもケガがないことを確認すると、あたしは、はあ……と、安堵のため息をもらした。
間宮さんの脇には、あの写真立てがある。