かけぬける青空は、きっと君とつながっている
しばらく歩き、この間、満月を見に行った浜辺に着いた俺たちは、菜月が持ってきてくれた俺の服を砂浜に敷いて適当な場所に腰を下ろし、しかし、それからしばらくの間も、どちらからも声を発することはなかった。
菜月は、俺の服の上に座ることを最後まで抵抗していたのだけれど、服をクッションのように丸めて置き、無言でいると、そのうち諦めたのか「……洗って返します」と、ちょこんと座る。
けれど、よく見てみると、なるべく体重をかけないように端のほうに座っているのだから、菜月の気遣いの深さには、何も言えない。
そんなことがありつつ、徐々に、……話そう、と決心を固めていった俺は、月が雲間から顔をのぞかせたのを合図にし、口を開く。
それは、これを見せるためだ。
「……見えるか? この写真に写っているやつらは、俺以外はみんな死んだ。東日本大震災の津波で流されて死んだり、そのあと少しして、生きる希望も目標も、将来の夢も、全部をなくして、自分で死んでいったり。ときどき言っていた“仲間”っていうのは、こいつらだ」
写真を覗き込む菜月が、はっと息を呑む。
おそらく菜月にも、何か心当たりがあったのだろうと思う、息を呑んだあと、すっと写真に見入る横顔には、覚悟のようなものが見えた。