かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「なんで……」
なんでこんなことに……。
心は痛むばかりで、しかし、今、助けられたとしても、今後はどうなるかも全く見当もつかないような事態に、熱帯魚たちをそのままにし、玄関のドアを開けるほか、俺にはできない。
「……え」
けれど、ドアを開ければ、辺りは異様なほどに静まり返っていて、もしかして近所の人から何か話が聞けるかもしれない、と考えていただけに、そのギャップに驚きを隠せなかった。
はらはらと粉雪が舞う寒空の中、玄関の前に立ち、誰か家から出てくる人はいないかと待ってみるのだけれど、依然、誰の姿も見えない。
そのうち、トレーナーとスウェット、という格好に寒さを感じはじめた俺は、いったん家の中に戻り、手袋やマフラー、ダウンジャケットなどを着込んで暖を取り、また外へ出てみる。
地震の揺れは、ふと気づいたときには治まっていたが、辺りは何事もなかったように普段と変わらない、というのが、かえって、何かとんでもないことが起きる前兆のように感じさせた。
と……。
「何をこんなところでぼーっとしてんだ!大津波警報が発令されたぞ!近所の人たちには俺から言って回るから、お前はすぐに逃げろ!」
「……、……」
「返事はっ!?」
「は、はい……っ」