かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
けれど、避難をはじめている人たちは、先ほどのおじさんの緊迫した様子とは違い、足取りはのらりくらり、世間話なんかもしている。


「さっきの地震、すごかったけど、ここまで津波は来ないわよね? 海まで距離もあるし」

「震度はどれくらいあったのかしら。最近、やたらと地震があると思っていたらこれだもの、この間みたいに、津波が数センチ、とかだったら、本当に勘弁してほしいわ」


数日前にも、やや強い地震があり、津波警報が発令されたときのことを言っているのだろう。

その前からも地震は続いていたが、数日前の地震のときには津波警報が発令されていて、消防団員が鐘を鳴らして避難を呼びかけていた。

家族や俺は、地震に驚きはしたものの、避難するほどではないと思い、しなかったけれど、聞こえた世間話の内容から察するに、この人たちは、数日前の地震のとき、避難をしたのだ。


「そうよね、避難したのは数人だったし、夜でやたらと寒かったし。おばあちゃんが避難する避難するって言うものだから、連れて避難したけど、実際はなんでもなかったわよね」

「うちもよ。チリ地震津波がどうのこうの、っておじいちゃんがね……。参ったわよ」 
 
< 238 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop