かけぬける青空は、きっと君とつながっている
父方の両親は、すでに他界していて、ばあさんの言う通り、あとは俺が避難し、折を見て無事を知らせるメールを送ればいいだけだ。
親戚関係は、まだなんとも言えないものの、俺たち間宮家の面々の無事だけは、確保された。
「そちらのご家族のほうは、どうなんです?」
「それが……子どもたちは家を出て他県に就職したり進学しているけど、旦那がね。消防団に入っているから、どうとも言えないわ……」
「……すみません」
「あ、いいの、いいの!気にしないで!」
「いえ、ほんと、すみません……」
安易に訊ねたことを、即座に後悔した。
お嫁さんは、身振り手振りを交えて、明るくそう言ってくれたのだけれど、俺みたいに家族が全員無事なわけはなかったのだ。
消防団員の呼びかけや、消防車の鐘の音が遠くのほうから聞こえ、あの中に女性の旦那さんがいるのかもしれないと思うと、気持ちを察して余りあり、謝るほか、俺にはできなかった。
さらなる避難の呼びかけ、逃げ遅れた人はいないかや、身体に障害があったり、自分では動けない要介護者など、一般に言う災害弱者を救助するため、迫り来る津波の中、果敢に消防車を走らせる団員たちの、なんと勇ましいことか。