かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
……みんな助かって、生きて会えたらいい。

そんなことを易々と言えるような状況ではないのだけれど、そう願わずにはいられず、それと同時に、同じ男なのに自分は何もしていないんじゃないか、と無力感に打ちひしがれる。


この形容し難い、あまりに深刻な状況を目の当たりにしている全ての人に共通することだが、本当は、今すぐにでも家族のもとへ行き、安否を確認したり抱きしめたいはずなのだ。

自分の命を守ることが最優先だとは言う。

しかし、それのみを考えられるほど、人の心は簡単なものではなく、消防団員の方たちのように、行政や市政に携わり、こういう緊急時のときこそ、多くの人の命をいかに守るかを最優先に考えなければならない立場にいる人がいることを、けして忘れてはいけない。

俺たちは今、そういう人たちのおかげで、こうして無事に避難できているのだから。


それからは、なんとなく気まずい空気が流れてしまい、集会所に着くまで無言が続く。

こういうときほど人の気持ちに寄り添うのは難しい……と唇を噛みしめるばかりで、けれど一度言ってしまったものは取り消せるはずもなく、集会所に着き、ばあさんを下ろすなり、俺は逃げるように避難者の受け入れ準備に加わった。
 
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