かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「ありがとうね」
「っ……、いえ」
受け入れ準備に加わるとき、ばあさんもお嫁さんも、こんな俺に対して感謝の言葉をかけてくれ、それがかえって、胸を締めつける。
何もしていないんだ、俺は……。
自分の心と体に余裕があったからこそ、手を貸せただけで、もしも、両親とも職場で地震にあい、津波の被害にあう可能性があったら、ばあさんを背負えたかどうか、分からない。
小さな集会所に、次々と人が押し寄せる。
暖房器具や毛布などの数も、人の数に対して圧倒的に足りず、自家発電器もない小さな集会所のため、電気も止まっている中では、暖を取るには数台の石油ストーブしかない。
「だいぶ昔のものだから、使えるかどうか分からんが、蔵にあったストーブだ。ちょっとつけてみてもらえんか。まずは、子どもらと年寄りにストーブにあたってもらうほうがいい」
「そうですね、助かります!」
集会所の近所の方だろう、ストーブに火をつけて回っている俺のところにやってきた初老の男性は、そう言ってストーブを置いていく。
数はあったほうがいい。
それに、子どもとお年寄りには、この寒さはあまりに酷で、真っ先に頭に思い浮かんだのは、それでも、さっきのばあさんだった。