かけぬける青空は、きっと君とつながっている
けれど俺は、絶対に行くもんかと決めている。
それにはいくつか理由があって、俺を含めた仲間7人で交わした約束を誰も破るわけはない、という思いや、きっと無事に逃げている、と信じる気持ちが大きいように思う。
でも、そればかりではない。
怖いのだ、どうしても。
「……よし、行こう」
校舎を出て、校庭の真ん中。
そこから見える、震災が起きた時間に止まったまま、ぴくりとも動かなくなってしまった大時計を見上げながら、ひとつ大きく息をはき、次の避難所に向かうため、小学校に背を向ける。
移動は、もっぱら徒歩だ。
そして、自分が避難している集会所に戻ってくる時間も計算すると、1日で回れる避難所の数は、それほど多くはないのが実状だった。
もう日が傾きはじめている。
今日は、次が最後だ。
そうして、次の避難所を目指して歩いている間には、さまざまな人とすれ違う。
被災地入りし、重機などを使ってがれきや土砂の撤去をしてくださっている自衛隊の方々はもちろんのこと、県内外から物資を持ってきてくださる一般の方々、報道関係の人たち……。
また、流されてしまった家の跡地に佇み、野花をたむける人、手を合わせる人、涙する人。
お互いの無事を知り、喜び抱き合う人。
本当に、さまざまな人とすれ違う。