かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「……なあ、航。気を落とすな、っていうほうが無理な話だけど、親父さんの言う通り、今すぐ地元に帰ったほうがいいと思う。俺たちには、落ち着いたら連絡してくれたらいいし、ボランティアに行く計画も、航がどうしたいか決めたらいい。とにかく急いだほうがいいよ」


すると、もうひとりの友人がそう言い、俺をベンチから立たせると、校門のほうを指差した。

ほかの友人たちもそれに倣い、頷いたり「そうだな」と相づちを打ったりしながら、早く地元に戻れ、と、俺の背中を押しはじめる。


こういうときだからこそ、第三者の助言は大きな助けになると、そのとき俺は思った。

俺だけだったら、いまだにここから動けないまま、ただ呆然とし、地元に帰ろう、とはすぐに思えなかったのかもしれないのだから。


それからは早かった。

一人暮らし先の部屋まで走って戻ると、手当たり次第に服をバッグに詰め込み、電車を乗り継いで新幹線の駅に到着すると、わずか5分後に出るという東北新幹線で地元に向かった。

途中、新幹線でそっちに向かっている、と親父に連絡すると、母方の祖父を迎えによこすから家に着いたら待っているように、と言われ、電話の最後に「できるだけ早く帰る」と。

そうして、通話は終わった。
 
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