かけぬける青空は、きっと君とつながっている
今日も間宮さんは、相変わらずのボサボサの髪と少し腫れぼったい目をして、あたしの横を通り過ぎ、階段を下りていく。
本当にたった今まで寝ていたのだろう、ふらふらとおぼつかない足取りが、若干心配だ。
「あ、机のモンには触るなよ」
すると、階段を3段ほど下りたところで、肩越しに振り向いた間宮さんから、お決まりの台詞をちょうだいする。
あたしはそれに真似をして「ヘーヘー」と返すと、掃除に取りかかるべく潮風の間に入った。
印象や態度が変わっていったというのは、思ったことや気持ちを言えたり行動に移せたり、そういうことができるようになったことだった。
汐凪に泊まっている間だけの関係だし、と割り切ると、お客さんに対してどうなのだろうとは思うけれど、変に遠慮したり気構えることもなく、自分を素直に出せる。
間宮さんのほうもまた、部屋の掃除は自分でするということだったけれど、毎日しつこいくらいに申し出ていたら、諦めたのか、自然と任せてくれるようになった。
「机には触らない、そのまま、そのままっと」
……ただ、思わず片付けたくなるほど散らかり放題の机の上は、どういう理由からか、片付けさせてもらえないけれど。