かけぬける青空は、きっと君とつながっている
よかった……と、ただただ、その一言に尽き、間宮さんはこの現実世界でたった1人きりではないのだ、とようやく実感することができた。
好き好んで震災を生き残ったわけではなく、孤独を選んだわけでもなく、この町に旅をしに来たわけでも、もちろんなかったと思う。
間宮さんがいつも言う“気まぐれ”なのだ。
「うわっ……と」
「ちゃんと足元を見ろって花火大会のときも言ったろ。仕方ねーな、ほら、手出せ」
「……すみません、恐縮です」
すると、先を行っている間宮さんの背中をぼーっと眺めながら、そんなことを考えていたら、あたしの腰の位置まで伸びた長い草に足が絡まり、思わず転びそうになってしまった。
素早く振り返った間宮さんは、花火大会のときに、何度も小石につまずいたことを引き合いに出しつつ、いつもの優しい意地悪を言いつつ、すっと手を差し伸べてくれる。
その手に自分の手を重ねながら、思った。
全てのことは、例えば神様がいるとして、その神様が気まぐれで起こしたことでも構わない。
けれど、導きの蛍だけは、気まぐれではなく、間宮さんをこの先の未来へちゃんと導くために現れてくれたんだよね、と……。