かけぬける青空は、きっと君とつながっている
いろいろと関わりを持っていくうち、少しずつ間宮さんに惹かれていった気持ちに、あたし自身、気づいていないわけではなかったし、そういう気持ちを“恋”と呼ぶことも知っていた。
ただ、あらかじめ「好きにはなるな」と釘を刺されたことや、ハルに失恋したばかりなのに簡単に次の恋ができるのだろうか、という疑問、間宮さんが抱えていた秘密のことなどが複雑に絡み合っていて、間宮さんに対する気持ちが恋なのかどうか、ずっと分からなかったのだ。
いや、正確には、分からないふりをしていた、と言ったほうが正しいのかもしれない。
とにかく、やっとそれが恋だと気づいたのは、辛くも間宮さんが民宿を出ていき、元通りになった部屋を目の当たりにしたときだったのだから、自分のバカさ加減にほとほと呆れる。
呆れすぎて、涙が止まらない……。
「菜月……?」
「……菜月ちゃん?」
すると、背中に声をかけられ、しゃくり上げたまま、あたしはゆっくりと振り向いた。
涙でぼやける視界の先には、ハルと香ちゃんが不安げな様子で立ち尽くしていて、2人の顔を見たとたん、とうとうあたしはタガが外れたように声を上げて泣きはじめてしまう。