かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
悔しさとか、寂しさとか、悲しさとか……そういう気持ちを、顔をしかめることで表している。

その顔のまま、ハルは続けた。


「さっき、下でばあちゃんにあいさつをしたんだけど、ばあちゃんが起きたときには、もうあいつはここにいなかったって。夜中のうちにこっそり出て行ったんだろう、ってさ……」

「そっか」

「ばあちゃんを責めるなよ。ばあちゃんも知らない間に起こったことなんだ、どうしようかって、いっぱい考えたはずなんだから。責めるなら何も言わないで出ていったあいつにしろ」

「ふふ。……うん」


ハルはきっと、あたしがおばあちゃんを責めるとは思っていないだろうし、間宮さんを、ここぞとばかりに悪く言うことで、あたしを元気づけようとしてくれているのだろうと思う。

けれど、その口調は、まるで間宮さんが乗り移っているように聞こえてしまって、結局はハルも間宮さんに何も言ってもらえなくて寂しいんだ、と思わせ、自然と笑ってしまった。


「でも、どうして間宮さんは、一番関わりが深かったはずの菜月ちゃんだけにでも、きちんと別れのあいさつをしなかったんだろう。間宮さんにとっての菜月ちゃんって、そんなに軽い存在だったのかな……。なんか納得できないよ」
 
< 360 / 423 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop