かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「綺麗だねー」

「昼間の花火も、なかなか乙なもんだな」

「でしょ?」


3人で眺めているのは、花火だった。

夏休みの初め、ハルとあたしが掃除のことで間宮さんを怒らせてしまい、そのお詫びに、ここで彼の指示通りに花火を並べた、という経緯があり、それを話すと、香ちゃんが言ったのだ。

「みんなで間宮さんを送ろうよ」と。

それで、こうして花火をしているわけなのだけれど、思えばそれから、あたしの考え方や家族との結びつき、恋や友情という絆などが、180度変わったな……と、そう思い知らされる。


間宮さんはこれから、おそらくは仲間たちとの約束を果たすために旅を続けるのだろう。

自分への戒めと、彼らの追悼のために。


それは、間宮さんが昨日、導きの蛍を目にしたあとの帰り道に言っていたように、どんなに頑張っても変えられない自分の部分のひとつであって、あたしが介入できることじゃない。

自分自身と正面から向き合って、ゆっくりでもいい、ひとつひとつ、自分の中に掘り下げていかなければならないことのように思う。

もう会うことは叶わないかもしれないし、ひょっこり会えることもまた、あるかもしれないけれど、どんな未来になっていても、間宮さんに誇れる自分になっていたい、と……。

心からそう思うあたしだ。
 
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