かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
自分のことより2人のほうが心配だと言った気持ちは、冗談ではなく、本心だったりする。

今、2人はこうして、あたしのために駆けつけ花火までしてくれたのだけれど、駆け落ち騒動からは日が浅く、また、香ちゃんの母親が、あれだけ叱ったのに娘がまたしても彼氏と会っていると知ったら、今度こそ、いかなる手段を使ってでも別れさせるつもりなんじゃないか、と思うと、本当に申し訳なく思うのだ。


そこにはあたしも付随していた、ということではあるものの、そんなことは少しも関係なく、ただ、ハルと会っていた、という事実にだけ目を向ける可能性が大きいように感じる。

……時間をかけるしかない事柄なのだ、これは。

けれど、駆けつけてもらったことを重く受け止め、どうしよう……と今さら思いはじめたあたしとは反対に、2人は明るく言う。


「んー、まあ、ぼちぼちやるしかないよな」

「そうだね。あたしたちのことより、やっぱりあたしは菜月ちゃんのほうが心配だよ。向こうにも友だちはいるだろうけど、あたしたちだって、しっかり菜月ちゃんの友だちなんだから。話したくなったら、いつでも電話してね」

「ふふっ、ありがとう」


そして、一周して、また心配される。
 
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