かけぬける青空は、きっと君とつながっている
それからしばらく、間宮さんとあたしは、千円札を押したり戻したりを何度となく繰り返す。
間宮さんも引かなければあたしも引かず、結局はあたしが折れることになって、2人ぶんの代金、750円を頂くことに落ち着いた。
アイスが食べたいと言い出したのはあたしなんだし、それなりにお小遣いももらっているのだけれど……こういうところ、間宮さんは変にプライドが高く、でもレディーファーストだ。
「ったく……。強情すぎなんだよ、お前。男に黙っておごらせないと可愛くないぞ」
「そ、そんなこと、間宮さんには関係ないじゃないですかっ。それに、お前じゃないです。何回言ったらいいんですか。菜月です、ってば」
「ヘーヘー、菜月サン。もう一回言うけど、そんなんじゃ全然可愛くないですよ」
「……」
ぜ、全然って……。
可愛げがないのは間宮さんだって同じなくせに、また自分のことは棚に上げちゃって。
口は悪いし、いつも偉そうだし不機嫌だし、おまけにあまのじゃくだし、そんな人に可愛くないなんて言われても、ちっとも説得力がない。
そんな感じで、やいのやいのと言い合いつつもアイスを食べ終わると、間宮さんは「町の郷土史を見てくる」と言って館内へ消えていった。