かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
あたしたちを眺める目線や、ぼやきは、柔らかい口調とは裏腹に「早く決めてちょうだいね」という、ある意味では、少し脅しているような含みもあり、みな一様に視線を泳がせる。

ひそひそと眉根を寄せて相談しあっていたり、男子なんかは、我関せずといった感じで、どうでもいいような話をはじめたり……。

心の中ではきっと、みんなそれぞれに自分たちのクラスだけ遅れていて焦る気持ちや、先生に悪いなと思う気持ち、それでも、誰か立候補してよ、などと思う気持ちが半々なのだ。


こういう瞬間は、みんな苦痛。

あたしだってそうだもの。

でも……。


「……、……。……はい。あたしやります」


勇気を出して、手を挙げる。

ざわつく声はぴたりと止み、先生が驚いてわずかに目を見開くのを筆頭にして、クラス中の視線という視線が一気にあたしに注がれた。

変わりたい、変われる、変わろう……。


積極性というものは、生まれてこの方、持ち合わせていると感じたことはあまりないのだけれど、いつまでも臆病なままではいられないし、間宮さんに変えてもらった数々のことを無駄にしないためにも、少しずつでいい。

自分自身を変えていこうと思う。
 
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