かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
それをするのは今なのだ。

変わりはじめるなら、今をおいて他にはない。


「指揮、小菅さんがやってくれるの?」

「はい」

「そう。じゃあ、みんなもいいわね?」


先生の問いかけに、自然と拍手が起こる。

指揮者に立候補したくらいで、そんなに拍手をされてしまうと、なんだか妙に照れくさいのだけれど、ふっと目が合った明梨が、その瞬間にとっても素敵な笑顔を見せてくれて、立候補はしたもののきちんと務まるだろうか……と少し弱気になっていた気持ちが、ぐっと上向く。


指揮の経験はもちろんなく、音楽に触れるのは授業だったり好きな歌手の歌だったりと、楽譜もまともに読めないあたしだけれど、やってみないことには、何もはじまらない。

経験は、積んでこそ意味がある、と思う。

いろいろな経験を積んでいった先の未来に、また間宮さんと出会えることを一つの夢に、あたしは今自分にできることを精一杯にやりたい。


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「今朝の菜月を見てたらさ、なんだか指揮者に立候補するような気がしてたんだよね」

「え?」


授業後、2-Aの教室に戻る廊下を並んで歩いていると、明梨がぽつりとそう口にした。
 
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