かけぬける青空は、きっと君とつながっている
聞き返しながら様子を窺ってみると、目元も口元も嬉しそうにほころんでいて、あたしが夏休みの間に変化があったことを、どうやら指揮者の立候補で確信したような顔をしている。
けれど明梨は、深く追求はせず、さすがは親友といった、全てを悟っているような微笑みをあたしに向けると「よかったね」とだけ言う。
「うん。これからいっぱい頑張らなくちゃね。進路指導もはじまるし、まずは楽譜を読めるようにならなきゃ……!忙しくなるぞー!」
「あはは。菜月、そんなキャラだった!?」
ぐっと握りこぶしを作り、それを「おー!」と天井に突き上げながら言えば、明梨はそんなあたしが面白かったらしく、声を上げて笑った。
あたしはしっかりとこの街で息をしている。
間宮さんはどうだろうな……。
今頃はどこにいるだろう。
明梨と笑い合いながら、ふと間宮さんを思う。
そのときちょうど、開け放たれた廊下の窓から心地いい風がさわさわと吹き込んできて、あたしの前髪をそっと押し上げていった。
その風は、めっきりと秋の気配を色濃くしていて、少し冷たく感じるくらいだったけれど、よくよく風を感じてみれば、わずかに含まれる夏の色は、間宮さんを思わせるブルーだ。