かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「ほら。見て見て、菜月ちゃん。もうこんなにたくさんっ! すごいねぇ!」
「うわぁ、本当ですね。皆さん、素敵な経験をしてらっしゃいますよね。どれを放送するか、ここから選ぶの難しいかもです……」
塩田さんが見せてくれたパソコンの画面には、もうすでに30通近くのメールが届いている。
その1つ1つを読んでいくと、選ぶなんてとてもできないくらい、リスナーさんが大切な人から背中を押してもらった一言とともに、それにまつわる素敵な経験談が綴られていた。
「ふふ、そうよね。放送を始めた頃は菜月ちゃんの経験談ばかり放送していたものね。でも、たった2ヶ月でここまでの反響になるとは、私も正直思っていなかったのよ」
「早いほうなんですか?」
「うん、とっても。人口も多くはないし、もともとが地域密着型のラジオ局だからね。こんな反応は私が知る限りでは初めてよ」
嬉しい悲鳴を上げながら、塩田さんはメールに目を通していく。
あたしの企画に賛同したのはいいけれど、塩田さんも高校出の新人にいきなり番組を任せるのは気が気じゃなかったらしく、何週間もリスナーさんからの反応がない中での放送に、かなり気を揉んでいたようだった。