かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「うーん、ちょっと暇かも……」
あたしのほうはといえば、何回もここに来ていて町の歴史もだいたい知っているため、席に残って外の景色を眺めることにした。
テーブルの上には、さっき追加で買ったアイスティーが汗をかきはじめている。
それをちびちびと飲みながら、海や鳥を眺めたり、遠くで波の上に器用に立つサーファーに思わず「おー!」なんてつぶやいたり。
そうして時間を潰していた。
すると。
「……あ、菜月」
「ハル……。げ、元気?」
「うん。まあ、な」
偶然にも、1週間ぶりにハルに会った。
ハルの後ろには、長い黒髪を下のほうで左右に結んだ可愛らしい女の子の姿。
背も小さめで、ハルの少し後ろを歩くあたり、控え目な性格なのだと思う、白いワンピースと“清楚"という言葉がよく似合う彼女さんが、若干緊張気味に立っていた。
あたしの視線に気づいた彼女さんが、やはり控え目にハルのシャツの裾を引く。
それで我に返ったらしいハルは、彼女さんとあたしを交互に見ると、慌てて紹介をはじめた。
「この子は、少し前からつき合ってる高坂香。こっちは、幼なじみみたいなモンの小菅菜月。俺がよく手伝いに行ってる民宿の子で、俺らみんな同級生なんだ。仲良くやろう」