かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
それが今では、放送直後、放送中でも、こうしてたくさんのメールを頂けるようになったのだから、あたしはつくづく思う。

分からないものだなぁ、と。





その後、反省会を終えて、番組に届いたメールをプリントアウトした用紙をファイルに入れて帰宅した、今のあたしの家ーー民宿“汐凪”。


「ただいまー」

「あ、おかえり。お疲れさまだったね。今日の放送もすごくよかったよ〜!」

「ありがとう、香ちゃん」


民宿の敷地に車を停め、玄関を開けると、さっそく香ちゃんの出迎えを受ける。

番組の放送は、毎週金曜日の夜8時から30分間で、反省会や次週の打ち合わせなんかをすると帰りは夜10時を回ってしまう。

ほかの日もだいたい同じような感じで、民宿の手伝いができるのは、シフト休みの日くらいなもので、それがあたしとしては申し訳ない。

この時間なため、おばあちゃんはもう休んでいるので、好意で手伝いに来てくれている香ちゃんが、にこやかに帰りを出迎えてくれたのだ。


「でも、今が一番大事なときなんだから、無理だけはしないでね。おばちゃんのお願いよ」


談話スペースのテーブルに鞄を置くと、少しぽっこりしてきた香ちゃんのお腹を触らせてもらいながら、お節介にも、そう口にする。
 
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