かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
香ちゃんは今、妊娠5ヶ月目に入っていて、相手はもちろん旦那さんとなったハルだ。

あれから紆余曲折ありつつも、2人の頑張りのおかげで香ちゃんのお母さんがとうとう折れ、晴れて2人は夫婦となっていた。

高校を卒業してすぐに籍を入れた2人は、ここから少し離れた海岸沿いのアパートに部屋を借りているのだけれど、何かと心配性なハルは民宿に香ちゃんを送ってから仕事に行っている。


「あはは、おばちゃんって。まだ十代なのに。でも、そんなおばちゃんの声に、ついつい聞き惚れちゃってね。産婦人科の先生も、お腹の子は順調だって言ってくれてるから、週末だし、ちょっと夜更かししちゃったよ」

「ふふ、ありがとう。まあ、あたしはいいけどハルが心配しちゃうから、ほどほどにね」

「うん」


お互いに18歳で結婚して、19歳になった頃にはもうママとパパになり、怒涛の子育て、か……。

狭い町だし、いろいろと揶揄する人もいるかもしれないけれど、それでも香ちゃんのお腹の中には小さな命が宿っていて、その命を溢れんばかりの愛情で迎えようとしている2人は、誰が何を言おうと無敵で格好いいとあたしは思う。


「じゃあ、あとのことはあたしに任せて。もうすぐハルが迎えに来る時間じゃない?」

「あ、そうだった!」
 
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