かけぬける青空は、きっと君とつながっている
けれど、夕暮れの中を歩くのは、ここ最近ではめっきり久しぶりで、そのせいだろう。
なんだか歩きたい気分にもなったあたしは、民宿の関係でお世話になっている魚勝さんらが並ぶ商店街の一角にブースを構えるラジオ局へ、坂の中腹あたりで引き返すことにした。
すると。
「さっきからお前、なんかブツブツ言いながらニヤニヤ笑ってっけど、頭大丈夫デスカ?」
「……、……。え……?」
まだまだ続く坂の途中で、登ってきた人とすれ違いざまにそんなことを言われてしまった。
どこかで聞いた覚えのある台詞にハッとしてその人を見ると、これがまた、どこかで見た覚えのあるバックパッカー姿の男の人だ。
間宮さん、だろうか……?
ものすごく半信半疑で、今思ったことを、おそるおそる声に出して言ってみる。
「ま、間宮、さん……?」
「おう」
「間宮、さん」
「おう」
「間宮さん……っ!!」
「うっさいなー、ったく。名前、何度も何度も呼びすぎなんだよお前。恥ずかしい」
ま、間宮さんだ……。
会いたかったですとか、お元気でしたかとか、好きです、とか……もしもまた間宮さんに会えたなら、言いたいこと、聞きたいこと、伝えたいことは星の数ほどたくさんあった。