かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
あの夏、間宮さんは、とてつもなく大きなものを背負ってこの町にやってきて、おそらくは、それを今も1人で背負い続けている。

震災と、震災にまつわる様々なことを話してもらったあと、あたしは密かに思っていた。


こんなあたしだけれど、間宮さんが背負うもののうち、ほんの少しだけでもいい、どうか分けてもらえないだろうか……と。

けれどそれは、同情されていると思われたくなかったり、あたしが言ってもいいことなのかと迷いがあって、どうしても言えなかったし、当然、2年経った今も言えるわけがない。


「でも、お前がお前のままでいてくれて本当によかった。初めてなんだよな、旅した場所にもう一度行きたい、って思ったのは。……夏になって、またお前に会いたくなった」

「……あ、あたしも……ずっとずっと、会いたかった、です……。本当に会いたかったです」

「だろうな」

「……ほんっと、あまのじゃくですね。ぷっ」

「ふはっ。それが俺の専売特許だからな」


どうやらあたしは、自分でも呆れて笑ってしまうくらいに、どうしようもなく好きで、好きで好きで、たまらないらしい。

……あたしの目の前で勝ち誇ったように憎たらしく笑う、ひねくれたこの人のことが。
 
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