かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「なに笑ってんだよ」
「いえ、なんでも。さあ、行きましょうか」
抱きしめていた腕をほどいた間宮さんを見上げて笑って言えば、彼からは「きもっ」という、またまたお決まりの台詞をちょうだいする。
けれど、あたしはもう、間宮さんの気持ちを知ってしまったし、それくらいの意地悪では、へこたれないくらいの免疫や経験は、この2年でついているという自負があった。
2年という月日は、往々にして、そういうものなのかもしれないなと、しっかりと手をつないだ間宮さんと、夕暮れの坂道を民宿へ向かって歩きはじめながら、ふと思う。
それぞれに流れる時間は、早かったり、遅かったりするかもしれないけれど、それくらいの長い期間だからこそ、はっきりと目に見える変化を感じられるのではないだろうか。
そんなふうに思う。
例えば、意地悪で、口を開けばあまのじゃくなことばかりを言っていた間宮さんが、少し……いや、かなり素直になっていたこと、しかり。
例えば、高校を卒業し、社会人となり、服装も変わって、それなりにメイクも覚え、何かと打たれ強くなったあたし、しかり。
それでも、唯一変わらないものがある。
そのことは、本当に奇跡だ。