かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
そう、おそるおそるながらも答えると、とたんにふっと柔らかく笑った間宮さんは、優しい目をして、ゆっくりと口を開いた。


「じゃあ、どれから話そうか」


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それから間宮さんが話してくれた旅の話は、素直に楽しいと思えるものばかりだった。

それは、ときどき冗談を交えて笑わせてくれたからにほかなく、北は北海道から、南は沖縄まで、離島も合わせて、本当に全国津々浦々、くまなく旅をして回ったという。


「とにかく沖縄はすごかった。もう、言葉なんて日本語じゃねーみたいだったし、食べ物も衝撃の連続。ま、全部うまかったけど」

「沖縄かぁ。いいなぁ……」

「シュノーケリング、つーの? 海に潜って魚見たり、海底を散歩したり。あとは、復興の進み具合を見るがてら、岩手の久慈ってところにも行ってみたんだけど、そこは“北限の海女”っていって、素潜り漁が有名でな。ウニも戻ってきたみたいだし、観光客も大勢いた」

「そうなんだぁ」


いつか行ってみたいと思う。

間宮さんが目で見て、肌で感じて、触れ合ってきた、その土地に生きる人たちや風土や海、空気感……それら全てを、あたしも感じてみたい。
 
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