かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「迷惑なんじゃないですか? あたし、毎朝かなりひどい起こし方をしていますよね。そういう事情があるとは知らなかったとはいえ、考えが自分勝手すぎました……」
やっと朝方に眠れたのに数時間後には叩き起こされる、そんな毎日では体がもつはずがない。
けれど。
「いや、かえって助かってる。お前は、今まで通り俺が起きてくるまで起こせばいい」
間宮さんはそう言って、お弁当の唐揚げを1つ取ると、それを口に放りながらベンチを立ち、目の前の防潮堤から海を眺めはじめた。
そのとき、海から陸に向かって吹き上げる緩やかな風が間宮さんのシャツの裾を揺らし、あたしの前髪を押し上げていった。
「……」
「……、……」
途端に会話が途切れる。
お弁当の残りは、もうない。
間宮さんと話す話題も、おそらく今日は……これでなくなっただろう。
「帰りましょうか、間宮さん」
「ん」
間宮さんは、この海風のように近くに感じることはできるけれど、けして掴めない人だ。
でも、それでいいと思う。
彼には何かあることは、この間の花火のときに薄々感じていて、今はだんだんと確信めいたものに変わりつつある。