かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「やってみろ」
けれど、あれこれと言葉を探しているうちに有無を言わせぬ迫力で命令されてしまって、あたしは渋々頷くしなかなった。
というわけで。
間宮さんと近くのベンチに腰掛けたあたしは、なるべく緊張しないように今までの会話を頭の隅に追いやることに専念していた。
手には開いた文庫本。
その文庫本がかすかに震えているのは、余計に緊張するから見ないことにしようと思う。
「じゃあ、始めますね」
「ん」
息を短く吸って、声にする。
「――この町の商店街は、過疎化の一途を辿っている。致命的な要因としては、最近できた大型ショッピングモールに根こそぎ客を取られたせいもあるが、それ以前から人通りはまばらであり、どこにでもありそうな過疎の町だった」
朗読しているところを誰かに聞かせるのは、間宮さんが初めてだった。
声の仕事に就きたいという夢は持っていて、放送部にも入っているけれど、それを親や明梨、おばあちゃんにも話したことはない。
なぜかと聞かれるとそれはそれで返事に困るけれど、一番は、おばあちゃんの民宿を守りたいという気持ちが大きいように思う。