かけぬける青空は、きっと君とつながっている
この町は坂が多い。
それは、海と山に囲まれた地形のためであり、あたしの勝手な解釈を織り交ぜると、ここに土地を拓こうとした人たちが、土を盛って農地や宅地を広げようとしたことも大きいと思う。
いつだったか、夏休みの自由研究で町の歴史を調べたとき、郷土史料館で読んだ記憶がある。
宅地や農地を拓くために土地を均したけれど、徐々に漁業が盛んになり、それに従事する人が増えたため、土地が足りなくなって、今のような坂が多い町に発展していった。
確か、こんな内容だったと思う。
ただ、高台にある展望台から眺める景色は最高で、坂が多い町だからこその綺麗な景観が広がる様子は、長い坂道を上ってきた疲れも一瞬で吹き飛ぶほど素晴らしい。
……お母さんはなぜかこの町が嫌いで、あたしが中学に上がってからは来なくなったけれど。
「そうだ、明日、展望台に行ってみよ」
思い出したら急に行きたくなって、さっそく明日、手伝いの合間に行こうと予定を立てる。
ハルとも何度も行った展望台。
そう思うと胸がチクチク痛むけれど、彼女とデートで来ていたところにばったり出くわす、なんてことも、そうそうないはずだ。
すると。