かけぬける青空は、きっと君とつながっている
すると間宮さんは、ますます意味を解釈しかねて首をかしげるあたしにふっと笑って、花火を見上げながら噛みしめるように言う。
「お前が言う、そういうんじゃないんだよ。ただの俺の自己満足。約束だから」
「約束、ですか」
「ん。2年前からの約束を今さら守ってる、って感じ。なかなか踏ん切りがつけられなかったんだけど、今しかできないことは、後先なんか考えないで今やろうと思って」
それを聞いて、あたしは「へぇ」とも「そうですか」とも、すぐには相づちが打てなかった。
“何かあるな”と感じていたその“何か”が、あたしにはとても重いものに思えてしまって……。
急に怖くなったのだ。
「……」
「……」
間宮さんもあたしも、それからしばらくは何も言葉を発することはなく。
終わりを惜しむように盛大に上がり続ける花火を、ただぼんやりと眺めていただけだった。
やがて花火大会終了のアナウンスが響き、河川敷に集まった人たちが一斉に帰りはじめた頃。
膝に置いていた巾着袋の中で携帯が光っているのに気づいたあたしは「あ」と声を上げた。
それが、あたしたちの間に鎮座する沈黙を破る合図になったようで、間宮さんは一言。
「帰るか」
そう言い、あたしに立てと目線だけで促した。