かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「あの……えっと……」
あたしだけが焦っている、この状況下。
言葉も空回りだった。
そんな重苦しい空気を破ったのは、畑から野菜をとって戻ってきたおばあちゃんだった。
「……奈緒子、来てたのかい」
「ええ、まあ」
大きなザルに野菜をたくさん入れて、それを脇に抱えている割烹着姿のおばあちゃんと、都会的な格好をしているお母さん。
顔の造りこそ、そっくりだけれど、田舎を思う気持ちや服装は対局だった。
「菜月、航君、悪いんだけど、ちょっと奈緒子と2人にしてくれないかい」
「お母さんっ、時間が……!」
「なに、心配ないさ。嫌がる菜月を無理に連れ戻させたりはしないさ」
新幹線の時間を気にするお母さんの言葉を遮って、おばあちゃんはあたしにそう言う。
そして、意味ありげな目を向けると。
「今日の夕飯はイカを焼こうかと思っていたんだけど、うっかり仕入れを忘れていてね。魚勝さんまで頼まれてくれないかい。航君も」
「う、うん」
「……はあ、分かりました」
間宮さんと2人、お使いを頼まれた。
それからすぐに出かける支度をして、にこやかに手を振るおばあちゃんに見送られながら、間宮さんと民宿を出る。