俺様編集者に翻弄されています!
 いつものミーティングルーム。

 悠里は緊張した面持ちで、氷室がプロットに目を通している様子を、固唾を呑んで見守っていた。どのくらい時間が経っただろうかとチラリと時計を見やる。しんと静まり返るミーティングルームには、ただ紙をめくる音しかしない。
 

(氷室さんの眼鏡姿って初めて見たけど、すごく似合うんだな……いいな、似合う人って)


 氷室がプロット片手に、時折眼鏡のフレームをあげたりする仕草に思わず見蕩れてしまう。


 眼鏡はあくまでも視力補強の為と思っている悠里にとって、氷室の眼鏡はなぜかファッションの一部に見えた。



「おい」


「は、はい!」


「これならいけるな」


「……へ?」


 前回の反応とは全く違う意外な答えに、つい間の抜けた声が出てしまった。

「お前、この話を最後まで書ききる自信はあるか?」

 その時、まるで自分の反応を試すように、氷室がぽつりと言った。
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