俺様編集者に翻弄されています!
 悠里がバッグに全部しまい終えて帰ろうとした時だった。


「痛っ……」


 先日の靴擦れがふとした拍子に擦れてひりっと痛んだ。


「どうした?」


「あ、なんでもないんです……」


 そう言いながら悠里は足を庇うようにぎこちなく歩き出そうとした。靴擦れはこんな時にも容赦なく痛みを訴えてくる。


(うぅ……めんどくさくて絆創膏しなかったせいかな……痛ったぁ)


「お前、やっぱりあの時靴擦れおこしてたな?」


「……え?」


 氷室には気づかれないようにと思っていたが、何もかもお見通しだったようだ。


「どうせ慣れないパンプスなんて履いてきたから靴擦れでも起こしてたんだろ、見せてみろ」


「ええっ!? そ、そんな、いいです」


(素足なんて見られるのやだ!)


 悠里は断固として断ったが氷室に無理やり椅子に座らされた。


「脱げよ」


 ドキン―――。


 別に服を脱げと言われているわけではないのに、なぜかその言葉に卑猥なものを感じる。


「いいから脱げって」


 悠里が固まっていると、氷室が痺れを切らして勝手に悠里の靴と靴下を脱がし始めた。

「え、ち、ちょっと! あーれー!」

(このシュチュエーションってまさしく……悪代官の帯回し!? って馬鹿なこと考えちゃだめ)


「ほら、もう少しで全部脱げるから……」

「お代官様、御無体でござりまするー」

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