俺様編集者に翻弄されています!
 氷室は日本に来て初めての壁にぶち当たっていた。

 悩むところを悩まない―――。

 それが氷室のスタイルでもあったが、悠里のことを考えると、悶々としたものが沸き起こり、この店に来た本当の理由も、少しでも気が紛れればと思ってのことだった。


「元気ないじゃなぁい、なにかあったのね? いつものでいい?」


「え……あ、あぁ」


 ナオママの観察眼に、氷室は厄介な幼馴染だと感じながらうっすら笑った。
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