俺様編集者に翻弄されています!
「あんな有名小説家の担当になるなんて、さすが美岬ね! 四年前くらいまではパッとしない小説家だったけど、彼女ならそのうちミリオンセラー作家になれると信じてたわ!」


 自分の担当している小説家に、こんな熱烈なファンがいることは、氷室にとっても励みになった。それに、思っていた以上にユーリという小説家はまだまだ売れる素質を持っていると感じている。


 それが今はまだうまく引き出せないだけだ―――。


 氷室はこれから悠里をどう導いていこうかと、らくしくないとは思いつつも思い悩んだ。



「あぁ、あいつはまだ土かぶった原石みたいなもんだからな……」


 素質ある小説家を自分の手で高みへ持ち上げる。


 それは編集者としての醍醐味のひとつでもあり、やりがいでもある。実際、悠里の持ってきたプロットにはその熱意と、読み手の興味を掻き立てるものを感じた。

 しかし―――。
< 134 / 340 >

この作品をシェア

pagetop