俺様編集者に翻弄されています!
企画会議が終わり、氷室が廊下を歩いていると北村に呼び止められた。
「珍しいな、あんな熱心なお前、久しぶりに見たぞ」
「それは挨拶か? それとも喧嘩売ってんのか?」
北村と氷室は奇しくも同じアメリカの大学で同じ学部の卒業生だった。北村の方が浪人していたため、実際氷室は年下にはなるが、そんなことには構わず社会人になっても、お互いフランクな付き合いをしていた。
「まぁ、話し聞けって、ユーリ先生の連載は書籍化になるのはまず間違いないだろうな、人気作家だし……けど、映画化にするのはちっと気が早すぎる」
そう言われ、内心では北村の言っていることは間違ってはいないと氷室もわかっていた。冷静に考えれば、書籍化して人気を煽ってから映画化にしたほうがうまくいく場合もある。
―――俺らしくないだろ。
何度も自分でそう言い聞かせて、頭の中を整理しようと試みた。
「けど、俺だって一応編集の長だ。ユーリ先生の映画化の話し、俺からもプッシュかけてもいいぞ」
「え……? なんだって?」
北村は映画化の話に乗り気ではないと思っていただけに、その言葉は氷室の思考を停止させるほど意外なものだった。
「けど、条件がある」
「珍しいな、あんな熱心なお前、久しぶりに見たぞ」
「それは挨拶か? それとも喧嘩売ってんのか?」
北村と氷室は奇しくも同じアメリカの大学で同じ学部の卒業生だった。北村の方が浪人していたため、実際氷室は年下にはなるが、そんなことには構わず社会人になっても、お互いフランクな付き合いをしていた。
「まぁ、話し聞けって、ユーリ先生の連載は書籍化になるのはまず間違いないだろうな、人気作家だし……けど、映画化にするのはちっと気が早すぎる」
そう言われ、内心では北村の言っていることは間違ってはいないと氷室もわかっていた。冷静に考えれば、書籍化して人気を煽ってから映画化にしたほうがうまくいく場合もある。
―――俺らしくないだろ。
何度も自分でそう言い聞かせて、頭の中を整理しようと試みた。
「けど、俺だって一応編集の長だ。ユーリ先生の映画化の話し、俺からもプッシュかけてもいいぞ」
「え……? なんだって?」
北村は映画化の話に乗り気ではないと思っていただけに、その言葉は氷室の思考を停止させるほど意外なものだった。
「けど、条件がある」