俺様編集者に翻弄されています!
(まぁ、せっかく来たんだし……)

 悠里は五階にあるカフェテリアで、休憩がてら先程手渡された修正案をチェックすることにした。

 直筆で書かれた氷室の字は、たかがメモ程度でも達筆で悠里の目を奪う。修正された文章を、もう一度頭の中で練り直していると、ふいに背後から声をかけられた。


「ユーリさん?」


「え……?」


 ふわりとフローラルな香水が鼻をくすぐって振り向くと、悠里はゴーゴンに石化されてしまったように全身が固まった。



「あ、あなたは……」
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