俺様編集者に翻弄されています!
「あ、あの! 今はちょっと忙しくて目を通せてないだけ―――」


「あなたに忙しい時期なんてあるのかしら? ふふ、私は万年引く手あまただけれど……」


「なっ……!」

 オーッホッホッホッホ! という高笑いが今にも聞こえてきそうだった。


「残念だわぁ、途中までしか読んでないということは、続きがさほど気にならない、つまりは私の小説が面白くないってことかしら?」


 私の小説は当然面白い、面白くないなんて言う読者はその素晴らしさに気づけないだけ――。


 と言わんばかりの気迫に悠里は言葉を失った。


「今日もね、こちらの出版社で独占インタビューの取材だったの。ユーリさんも結構な人気作家さんなのに、取材記事は一度も見たことがないわね」


「それは……」


 今までインタビューの依頼が一度も来なかったわけではない。今でも、多方面から依頼はくる。けれど、自分の執筆している小説のイメージが、作者が表に出たことで崩れるのではないかという懸念があった。
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