俺様編集者に翻弄されています!
「お前は本当に何も知らないんだな、世間知らずというか……勉強不足というか」


「うぅ……」


 なんとか無事に食事を終えたが、悠里は氷室の視線が気になって料理を味わう余裕すらなかった。そして最後にグサグサと厳しい言葉を浴びせられる。


「す、すみません……お恥ずかしい限りです」


(あぁ、もうきっと呆れられたよね……だから嫌だったのに)


 悠里がナプキンで顔を隠すようにしていると、すっとそれを取り上げられた。


「あ……」


「隠すなって、誰もお前のことなんて見てない。見てるのは俺だけだ」


 ドクン―――。



 ナプキンを取られ、何も隠すものがなくなった悠里は、赤面した顔を氷室に晒す。



「どうやら小説家としてというよりも、女として育てた方が面白そうだな……」


「……え? 今、なんて?」


「いや、こっちの話しだ……気にするな」

< 188 / 340 >

この作品をシェア

pagetop