俺様編集者に翻弄されています!
 高峰悠里。

 氷室にとって、悠里は他の女と何かが違って見えた。

 見栄えよく着飾るわけでもないのに目が離せない、けして目を瞠るような美人でもない。


 殻に閉じこもって自分を見せようとしない完全なネクラ女だった。


 もっと、本当のこいつの姿を引きずり出したい―――。

 隠そうとするともっと見たくなる――。

 そんな気を起こさせる悠里に氷室は興味を持っていた。

 ゴクゴクとオレンジジュースを豪快に飲んでいる悠里を眺めながら、そんなふうに思う自分自身が滑稽に思えて、悠里に気づかれないように笑いをかみ殺した―――。
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