俺様編集者に翻弄されています!
 “当日は忙しくて相手できるかわからない、見つけ次第こっちから声かける”

と、先日氷室に言われたにもかかわらず、悠里の目は自然と氷室の姿を探していた。


「あ……」


 人の間を掻い潜って奥の方に行くと、数人の外国人相手に話しをしている氷室の姿をようやく見つけた。

 しかしそこには―――。


 我が物顔で氷室の腕を組んで、いかにも氷室の女気取りの後藤エミリーの姿があった。


(うぅ、嫌なもの見ちゃった……)


 その場で硬直していると、ふとエミリーの視線とぶつかった。


「っ!?」


 口元でクスリと笑うエミリーの顔が目に入り、慌てて踵を返えそうとしたその時。
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