俺様編集者に翻弄されています!
「あの、氷室さんと知り合いなんですか?」


「え? あぁ……まぁ」


 ようやく突っかかっていたことを尋ねると、一瞬宮森の瞳の奥が揺らいだ気がした。


「知り合いもなにも……彼は僕にとってライバルみたいなものだからね」


「……ライバル?」


 目を丸くしている悠里の表情に、宮森は柔らかい笑みを向けた。


「そうそう、ユーリ先生の連載、毎回読んでるよ。少女漫画担当だけど、個人的には実はああいうダークな恋愛観が好きでね、いつも感心して読んでるんだ。まぁ、そんなこと言ったら担当してる漫画家さんたちに怒られちゃうけどね」


「あはは……」


 なんとなく話しの矛先を変えられて、結局、氷室とはどういう関係なのかわからずじまいだった。あからさまに話しを逸らされて、悠里は、氷室と宮森の間に何か過去にあったのでは?と穿った考えがよぎった。

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