俺様編集者に翻弄されています!
「けど、知ってる? 僕、前は文芸だったんだよ、「艶人」の編集だってやってたんだ」


「えっ、そうなんですか? 知らなかった……でも、それじゃあ結構前ですよね?」


 悠里が「艶人」で「愛憎の果て」を連載し始めた時は宮森はいなかったはずだ。ということはそれ以前に宮森は文芸にいた事になる。


「そう、今の部所に異動になったのは五年も前の話しだからね……」


 宮森はグラスに入ったワインを力なく見つめている。悠里はその言葉の裏に何か影があるのをなんとなく察した。


「ねぇ、もし……僕が文芸に異動したら、ユーリ先生の担当任せてくれないかな?」


「え?」
< 209 / 340 >

この作品をシェア

pagetop