俺様編集者に翻弄されています!
「あ、もちろん今は氷室がいるから無理だけど」


「……あはは、冗談うまいですね」


 宮森の視線が意外にもまっすぐすぎて、本気だったのか冗談だったのかわからなくなる。万が一、本気だったら困る。悠里は苦笑いしながらその場の雰囲気を誤魔化した。

 
「ふふ、なんてね。本気にした? でも、氷室が羨ましいよ、おっとお世辞じゃないからね」


 宮森はそう言って悠里にウィンクしてみせる。


(な、なななななに!? こんなにさりげなくウィンクが似合う日本人初めて見た!)


 ボッと一気に体温が上がってそれを素早く冷却するように、悠里は手元にあるシャンパンを何杯も水のように呷った――。
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